
「最近なんだか疲れやすい・・」
「気分が落ち込む・・」
その原因、もしかすると栄養が足りていないかも知れません。
今回ご紹介する本は、そんな不定愁訴を栄養の面からなんとかしようとする内容となっています。
僕も非常に参考になった本ですし、患者さんにプロテインや鉄の摂取をオススメすることもあります。
ただ、読んでいて「ちょっと注意した方がいいかな」と感じたので、その辺りもご紹介していきます。
- 女性はなぜタンパク質と鉄が大切か
- 積極的に食べた方がいいもの
- 食べるのを控えたほうがいいもの
- 疲れを回復させるサプリメントの組み合わせ
- 症例とエビデンスのバランス

藤川徳美
2008年にふじかわ心療内科クリニックを開院。気分障害、不安障害、睡眠障害、ストレス性疾患、認知症に対して多面的な治療法を採用しながら治療にあたっている。
目次
『うつ消しごはん』の内容は慎重に考えよう
『うつ消しごはん』に書かれているように、様々な体調の不調は栄養の偏りや不足から起こっている可能性があります。
しかし、栄養摂取ですべての人の体調が回復するかといえばそうではありません。
うつ症状であれば
- お薬
- 運動
- 認知行動療法
- ホルモン補充療法
このようなことが改善の糸口になる可能性もあります。
『うつ消しごはん』は栄養面に特化して書かれた本ではありますが、万能ではありません。
また、エビデンスよりも治療成績が重要という一文がありましたが、これは確かにその通りです。
しかしエビデンスも同じように重要な要素です。


●調べてみると反対の意見もある
例えば『うつ消しごはん』で紹介されているフェロケルというサプリメント。
中身はキレート鉄という鉄分なのですが、長期の過剰服用で体調不良になる可能性があります。
厚生労働省が発表している鉄の耐容上限量は男性50mg/日、女性40mg/日となっており、安易に目安量を超えて摂取すると有害となるかもしれません。
『うつ消しごはん』では3錠飲むケースを紹介していましたが、これは医師の定期的なモニターのもと行われた摂取方法です。
日本人のほとんどは鉄が足りていないといわれているので、サプリメントで補うこともオススメですが過剰摂取には気をつけましょう。
●安易に目安量を超えないこと
サプリメントで栄養を補うことに関しては僕は大賛成です。
ただし、その摂取量には注意した方がいいでしょう。
特に『うつ消しごはん』で紹介されている海外製のサプリメントは日本のものより栄養素の含有量が多いため、しっかりと説明や内容量を読んだ上で試してください。

なぜか栄養が足りない現代人
さて、読む上での注意点はこのくらいにして、本書の紹介です。
世の中にはたくさんの食べ物があるのに、なぜ栄養が足りていないのでしょうか?
『うつ消しごはん』では質的な栄養が足りていないとしています。
糖質過多+タンパク不足+脂肪酸不足+ビタミン不足+ミネラル不足

なんでこんなことになるのかというと
- 白米食べ過ぎ
- 加工食品食べ過ぎ
- 卵食べなさすぎ
- 肉や魚食べなさすぎ
- 野菜の栄養量減少
こんなようなところでしょうか。
食べた方がいいもの
『うつ消しごはん』では前提として、糖質制限を行います。
その上で積極的に食べた方がいいものとして
- 肉
- 赤身の魚
- 貝類
- 卵
- バターなど動物性脂肪
これらをオススメしています。
動物性の食材はそのデメリットが取り上げられる機会が多いため、避けている方も多いと思います。
しかし、どれも優秀なプロテインスコアで鉄も多く含んでいる食材です。
特に僕もオススメしたいのは卵。
プロテインスコアでも100点満点ですし、DIAASでも1.15という高い数値です。
かつてはコレステロールが気にされていましたが、厚生労働省から出された2015年の食事摂取基準からコレステロールの目標値がなくなりました。
どうやら卵に含まれるコレステロールと、脳卒中などの血管の病気とは関係がないとされたようです。
卵にはタンパク質のほかにも体に必要な栄養素がつまっています。
積極的に摂取したい食材ですね。
『うつ消しごはん』を読んでみて
冒頭でも説明したように、『うつ消しごはん』の内容をそのまま試すのは慎重になったほうがいいでしょう。
たくさんの良い症例があったとしても、それは医師のモニターのもと行われた結果です。
特に、さほど不調を感じていない人が健康増進目的でメガビタミンや鉄の大量摂取などを行うと、かえって体を悪くするかもしれません。
とはいえ、タンパク質や鉄分といった様々な栄養素が不足しているのは事実。
サプリメントで補うのは大賛成です。

サプリメントや自分の体を考える1つの参考書として『うつ消しごはん』を読んでみてはいかがでしょうか。
おわりに
『うつ消しごはん』のように栄養について書かれた本は、より自分で情報を選択する能力が求められます。
僕は栄養についての本を何冊も読んでいますが、中には「プロテインはダメだ」と書いてある本もあります。
肉もほかの本では「牛や豚などの赤身肉はほかのタンパク質と比べると腎臓病の発生リスクが高まる」という研究データを紹介しています。
不足する栄養素は個人の体、生活習慣、環境によっても変化します。
絶対にこれが正解というのはありませんので、そこだけ注意しましょう。

- なんだか体調がすぐれない人
- 疲れやすい人
- 体がコリやすい人
※いずれも病気の可能性を除外した上で