【症候学】痛みから病気の場所と原因を探る

マッサージをする前はカウンセリングで「今日はどこがつらいですか?」とか「いつからつらいですか?」とか、いろいろと質問をしますよね。

カウンセリングは「あー、この人のつらい症状は〇〇が原因となっていそうだぞ」なんてある程度あたりをつけるために行なっているのもありますが、それ以前に自分がマッサージをしてもいいものなのか確認をするためにも必要なものです。

単純に筋肉が張っていて重だるかったり痛かったりする場合が多いのですが、中には骨の問題で神経が圧迫されていたり内臓の問題で症状が体表に現れている場合もあります。

病院の受診が必要なのかそうでないのか、ある程度見抜くためにもマッサージをする人には診断の力が求められます。

リキヤ
実際にお客さんに「あなたは〇〇病です」なんて間違っても言っちゃダメですよ。
お灸さん
診断は医師のお仕事ですもんね。

診断をするのは医師ですが、マッサージをする人も患者さんが訴えている症状から原因を推測することは可能です。

そのようなアプローチの仕方を症候学といいます。

これ、かなり大事。

今回は、症状から病気について考える症候学の入門書として超わかりやすい1冊をご紹介します。

この本でわかること
  • 痛みが起こる理由
  • OPQRST法を使った問診
  • 胸が痛いのは心臓が悪いからなのか
  • 呼吸の仕組み
  • 発熱と高温の違い
  • めまいはなぜ起こるのか

この記事では本書の序盤で出てくる「痛み」について、少しだけ紹介したいと思います。

市原真
病理専門医、臨床検査管理医、細胞診専門医。札幌厚生病院病理診断科医長。インターネットでは「病理医ヤンデル」で有名。

痛みは生きる上で必要なセンサー

ぶつかったり刺さったり、人間には体が通常ではない状態をお知らせする「痛み」という便利センサーが存在します。

便利といっても不快なことは不快なのですが、痛みのセンサーがあることによって体の通常ではない状態を知ることができ、命を守ることにつながります。

さて、患者さんが訴える痛みといってもさまざまです。

  • ここが痛い
  • この辺がなんとなく痛い
  • ズキズキする
  • キリキリする

こんな感じで痛みの表現はさまざま。

痛みはというのは個人的な感覚であって、共有することができません。

そこで役に立つのが、痛みが起こる原因を患者さんが訴える症状から考えていく症候学です。

痛みから場所を探す

痛みが起こっている原因を探すとき、まずはその痛みが体性痛なのか内臓痛なのかを見分ける必要があります。

「ここが痛い」体性痛

体性痛は体の表面で感じる痛みのことをいいます。

体性痛センサーがある場所
  • 皮膚
  • 血管
  • 筋肉
  • 関節
  • 腹膜

体性痛の特徴は「ここが痛いんです」と場所を指し示すことができることです。

患者さんがハッキリと「ここ痛い」と訴えている場合は体性痛センサーの中から、どこが原因か探していきます。

「このあたりが痛い」内臓痛

内臓痛はその名の通り、内臓で感じる痛みのこと。

内臓痛の特徴は「このあたりが痛い」と場所がハッキリわからないことです。

補足内臓痛から体性痛に変わってきたら、内臓の炎症が腹壁にまで広がってきている可能性が高いので要注意です。反跳痛なんかがこれ。

痛みの原因を探す

場所がなんとなくわかったら、なぜそこに痛みが出現しているのか原因を探していきます。

炎症

ケガをしたり体の中に異物が侵入したりすると、体を守るために炎症が起こります。

免疫細胞のみなさんが体を守るためにワーっと戦うわけですが、その戦いによってブラジキニンだとかセロトニンだとかの発痛物質がばら撒かれて痛みを感じます。

補足炎症には痛み・発赤・腫れ・熱感に加えて動かしにくいといった特徴があります。有名なアレ。

伸展や圧迫

グイーっと押されたりギューッとつねられたりすると痛いですよね。

このような物理的な刺激によっても痛みが出現します。

リキヤ
当たり前なんだけど、うまくできてますね体って。

熱い冷たい

熱々のお茶は「アツっ」と感じるし、氷は「冷たっ」と感じます。

「アツっ」とか「冷たっ」と感じると同時に痛みも感じたりします。

体にとって危ない温度のものは、痛みとして感知するようにできているんですね。

神経のエラー

原因がハッキリわからない慢性痛なんかも神経のエラーです。

リキヤ
エラーというか、誤作動というか・・表現もハッキリしませんね。

「前に痛くなったからまた痛くなるかも」といった不安や記憶からも痛みが出現したりします。

また、内臓の痛みセンサーが離れた場所の皮膚に痛みとして出現するなんていう関連痛もあったりして、より複雑なことになっています。

『症状を知り、病気を探る』を読んでみて

この記事で紹介した内容は本書の冒頭20ページくらいです。

ここからお腹や胸の痛み、呼吸困難や発熱といった各論に話が展開していきます。

医療者向けの本といってもヤンデル先生の本なので読みやすいし、総ページ数も161ページと少ないのですが内容は結構ボリュームがあります。

各論の流れとしては

  1. その部分に症状が出る原因
  2. 生理学的なそもそもの体の仕組み
  3. 症状を訴える患者さんを想定し、OPQRST法を使って原因を探す例

といった流れ。

まあ、本書で紹介されているものでマッサージが適応になる病気ってないんですけど、マッサージをするよりも病院なのか、マッサージもいいけど病院もなのか、マッサージだけでも大丈夫なのか、その判断をするためにも本書の症候学の基本的な話は役に立ちました。

OPQRST法の覚え方や使い方もヤンデル先生ならではの方法が紹介されています。

その辺は本書で確認してくださいませ。

おわりに

この記事を書いていて思いましたが、痛みの場所や原因を考えるだけでも自分がどのようにアプローチするのか、ヒントになりますね。

レッドフラッグの確認にもなるし、アプローチしていい痛みなのかの判断材料にもなる。

もうちょっとカウンセリングで掘り下げた方がいい部分もありますが、痛みの場所や原因だけでも知っておくと役に立ちます。

病気について勉強するのは気絶するほど大変ですが、患者さんの安全のためにも自分の安全のためにも症候学でさまざまな病気について考えてみてはいかがでしょうか。

こんな人にオススメ
  • 鍼灸師やマッサージ師などの有資格者
  • リラクゼーションセラピスト
  • スポーツトレーナー