医者という仕事がハードワークな理由

病院で働く友達から「給料と仕事内容は見合ってないよ」という話を聞きました。

「医者は高給取りでいいよね」みたいな話がよくありますが、ぼくも医療をかじっている端くれ、医学書やら論文やらで情報収集は大変だし勉強会は高額だし、医者はもっと大変なんだろうとなんとなく想像していました。

でも、まさかここまでブラックとは。

今回は、これから医者を目指そうかなと思っている人に向けて書かれた、医者のリアルを覗ける1冊をご紹介します。

この本でわかること
  • 医者は人の死をどうみているか
  • 医者のブラックな労働事情
  • 新型コロナが病院に与えた地獄
  • 医者のキャリア
  • 子育て事情

医者を目指そうとしている人でなくとも、人生のうちで一度はお世話になる医者がどのように働いているのかを知っておくといいかと思います。

リキヤ
これは迷惑かけられない。

この記事では本書の中から、医者のブラックな労働環境をご紹介していきます。

中山祐次郎
湘南東部総合病院外科に勤務。資格は消化器外科専門医、内視鏡外科技術認定医、外科専門医、がん治療認定医、感染管理医師など。臨床医を休んで行った京都大学大学院で優秀賞を受賞して公衆衛生修士を取得。

当直という鬼制度

病院という場所には常に医者がいなければいけない、医療法というものが存在します。

つまり24時間営業。

コンビニや牛丼屋などはシフト制なので、昼と夜でスタッフが交代します。

病院はというと、医者はシフト制ではなく当直制という労働システムを採用しています。

これが鬼。

当直とは1人の医者が週に1〜2回、泊まり込み勤務をすること。

つまり通常診療をした後も帰宅せずに、なにかあったときのために待機しなくてはいけません。

で、当直が終わった後は帰れるのかと思いきや、帰れません。

なんと、当直の後にも通常診療が待っています。

リキヤ
つらい、つらすぎる。

外科医の場合はこのコンディションで手術も行わなければならず、手術中は交感神経がフル活動しているため眠くならないそうなのですが、それでもやはり質は下がってしまうことが予想できます。

お灸さん
科によって違いがあるそうです。

ちょっと改善されつつある

32時間以上の連続勤務をする医者が半数を超えている状況。

これを受けて医者の働き方をどうするのかという検討会が開かれました。

そこでは

  • 連続勤務時間制限28時間
  • インターバル9時間確保による休息の確保

という取り組みが検討され、少しずつ働きやすい状況になりつつあるようです。

補足2024年に施行。その後も実態調査と検討が長期に渡って行われるようです。とはいえ、まだまだつらそう。

参考:第22回医師の働き方改革に関する検討会資料

外科医が忙しい理由

医者のなかでも特に忙しい外科医。

本書ではその理由を3つあげています。

1業務の性質上

手術には何時間とかかるものもあり、それ自体かなりハード。

しかし、外科医の仕事は手術をした後にも続きます。

術後、患者さんの状態は不安定になります。血圧が下がったり、尿が出にくくなったり、止血できていたはずなのに後で大出血することだってあります。看護師さんが見ていてはくれますが、基本的に医療行為はできないため、医師が張り付くことになります。

命がかかっているため、サクッとやってサクッと帰る、なんてことはできないのが外科医のようです。

リキヤ
これに当直が加わるとなると想像しただけでキツい。

2手術件数が増えている

なぜ手術の件数が増えているのでしょうか?

これには日本全体としての問題が含まれています。

そう、高齢者人口の増加です。

高齢になるほど、手術が必要な病気にかかる確率が上がります。

これは若い頃と比べると、ある程度は仕方がない。

お灸さん
完全には防げないけど、病気になる確率を減らす努力は個人個人で必要ですね。

3外科医が減っている

高齢者が増える一方、外科医は減少傾向にあります。

そうなると必然的に1人あたりの手術件数は増えますよね。

そもそも若い人が減っているため、医者になる人数も減少していくと予想できます。

そのなかで外科医を選ぶ人が何人いるのか。

これからはますます、個人個人で病気を予防する行動が重要になってきます。

診療報酬が増えても給料は変わらない

診療報酬が〇〇%アップ、というニュースをみると「あ、医者の給料が上がるのね」なんてイメージがありますが、どうやら違うようです。

病院というところは、絶えず最新の医療機器を購入し続けなければなりませんし、リスク管理のコストもどんどん上がっています。そして何よりも「新しい建物」「きれいな部屋」が患者さんを集めるためにとても重要な因子になってきます。

病院とて経営。

患者さんが来ないことには成り立ちません。

その患者さんを集めるために重要になる因子が「新しい建物」と「きれいな部屋」なら、経営としてもそちらへの配分を優先させるかと思います。

リキヤ
確かに、東京にある大きな病院はきれいなところが多いですね。

読んでいて、設備>医者なんてイメージが頭に浮かびました。

世知辛い。

『それでも君は医者になるのか』を読んでみて

つらすぎる。

特に外科医がつらすぎる。

病院に勤めている友達は外科医ではありませんが、働きぶりを聞いていると「なかなかハードだねえ」なんて思います。

それがこんなにハードだったとは。

また、ハードなのは勤務だけではなく、勉強面でもハードでした。

大学医学部を卒業しても専門医としての試験が卒後数年後から受けられるようになったり、臨床現場に出てから大学院に入ったり、一生勉強が続きます。

専門性が高いとはいえ、ここまで勉強を続ける必要がある仕事はほかにないでしょう。

お灸さん
社会に出てから勉強する人なんてほとんどいませんもんね。

その高い専門性と命を助けるという仕事の性質上、イメージが神格化されてどこか距離を感じてしまうのは確かにあります。

本書で医者の働き方を知ったりSNSで発信している先生を見たりして身近に感じることができれば、医者とのコミュニケーションも円滑になるのかもしれませんね。

おわりに

本書では医者のリアルが書かれています。

『それでも君は医者になるのか』というタイトルは本書を通してのテーマ。

医者のネガティブな部分がたくさん書かれている本にはなりますが、最後にはこう書かれています。

給料はかなり高いのですが、それ以上に安定があります。たとえ病院が潰れても、医者が失業して困るということはまずありません。

そう、食いっぱぐれることはない。

そしてなにより、「ありがとう」と感謝されることがめちゃくちゃ多い素晴らしい仕事だと締めくくりに書かれています。

とはいえ、働き方の改革は必要だと感じました。

本書には中山先生が感じてきた医者のリアルがたくさん書かれています。

ぜひ、医者がどのような日常を送っているのか覗いてみてください。

こんな人にオススメ
  • 医者を目指す人
  • 医者に不信感がある人
  • 医者を怖いと思う人