
臨床の現場でたくさん遭遇する五十肩。
なんなら、リラクゼーションサロンでもちょこちょこ遭遇します。
「どのように評価したらいいのか・・」
「疼痛期、拘縮期、緩解期でどのように治療を行っていけばいいのか・・」
そんな悩めるセラピストにオススメなのが今回ご紹介する本です。

赤羽根良和
理学療法士。平成21年から、さとう整形外科に勤務。理学療法ジャーナルへの執筆や理学療法、理学療法学科に関し多数の論文を発表している。
目次
『五十肩の評価と運動療法』でわかること
専門書ですので、この本でどのようなことがわかるのか簡単に紹介していきます。
●第1章 肩関節の基礎知識
第一章では肩関節の基礎的な解剖学の解説から始まります。
評価をするにせよ治療をするにせよ、解剖学的な知識が頭の中にあった方がイメージがしやすくなりますので解剖学は頭に入れておきたいところ。
- 肩関節を評価する3つの肢位においてどの筋や靭帯が制限因子となるのか。
- 肩関節の運動にともなって肩甲骨はどのように動くのか。
このようなことが写真や表でまとまっていて、非常に確認しやすかったです。
●第2章 筋の機能と評価
五十肩ではどのような筋が影響を与え、その評価をどのように行うのか。
- 筋の圧痛が好発するところ
- 筋の攣縮なのか短縮なのか、その評価方法
これらのことを、五十肩に影響を与えるそれぞれの筋肉ごとに解説されています。

●第3章 五十肩の病態
- 痛みが強い疼痛期
- 痛みが和らいでくる拘縮期
- 可動域が出てくる緩解期
これらの時期にどのような方針で治療を行うのか解説されています。
加齢などによって胸椎の後弯が強まると肩甲上腕リズムが崩れる、なんてところも注目です。
●第4〜6章 具体的な治療方法
疼痛期、拘縮期、緩解期においてどのようなことに注意し、どのように治療を行うか解説されています。
「疼痛期は安静にするのだ」なんて単純に思っていましたが、疼痛期の安静というのは動かさないのではなく、痛みが増すようなことはしないというのが正しい考え方でした。
ということは、痛みを与えないようなマッサージは有効ということ。
五十肩において肩甲胸郭関節は炎症をほとんど引き起こすことがないため、肩甲胸郭関節の可動域拡大は疼痛期の段階から行っていくことが望ましい。

『五十肩の評価と運動療法』を読んでみて
今までは評価をしていてどのあたりが原因かぼんやりしていましたが、制限因子となる部位が各肢位でどこなのか段々と見えるようになってきました。
そして、疼痛期でもⅠb抑制という観点からトリガーポイントや起始停止部への鍼、マッサージなんかも効果的なんだなと確認することができました。
セルフケアの方法も紹介されているので、患者さんへの指導までできるようになります。
五十肩の臨床を重ねる上でわからないことがあれば、パッとこの本を開いて確認しましょう。
おわりに
僕はまだまだ五十肩に対して知識が浅いので、何度も『五十肩の評価と運動療法』を開いて確認しています。

日々たくさんの患者さんと接することのある接骨院や整形外科にお勤めの先生たちに、特にオススメの1冊です。