
- 医者とはどんな人たちなのか
- 病院とはどんなところなのか
- 病気になるとはどういうことか
こんなようなことがエッセイで書かれた1冊をご紹介します。
「さて、この本はどんな人に読んで欲しいかなー」と考えながらパラパラめくっていたら、そでに答えが書いてありました。
病気になったときに焦らない、知っておきたい病院や医療のこと

病気や医療のことを知り、その情報を正しく選択して活用する能力を「医療リテラシー」なんていうのですが、本書に書かれている医者・病院・病気の概要を知ることでなんとなく何が正しい情報なのかが見えるようになります。
エッセイとしておもしろく書かれていますが、読み終わってみるとなかなか役に立つ情報が満載だったことに気づきますよ。
さて、いつものように大切な部分をピックアップしてご紹介していこうかな。
と思ったのですが、この本は実際に全部読んでみて「ふむ、なるほど」と納得できるもののように感じました。
僕は医師ではないし、要点だけピックアップして紹介しても説得力が出ない。

ということで、この記事では少し本書になぞらえて
- 鍼灸マッサージ師とはどんな人たちなのか
- 治療院とはどんなところなのか
- 健康でいるためには
このようなことについて、つらつらと書いてみようと思います。

本の雰囲気を漂わせることができるかの挑戦です。
市原真
札幌厚生病院病理診断科医長。病理専門医・研修指導医、臨床検査管理医、細胞診専門医。日本病理学会学術評議員。Twitterでは病理医ヤンデル(@Dr_yandel)として知られている。
鍼灸マッサージ師とはどんな人たちなのか
まだまだ認知度が低い鍼灸師とマッサージ師という職業。
実をいうと鍼灸師もマッサージ師も国家資格で、ほかの医業職と同じようなカリキュラムで学んだ医療技術職なんです。
同じカリキュラム、といったらちょっと語弊があるかしら。
ほかの医業職の場合はさらに専門分野に特化し、さらに全体的にも深く学習するのですが鍼灸マッサージ師の場合は広く浅く体について学んだ上に東洋医学をプラスしたカリキュラムになっています。
広く浅くといっても3年間学校に通い学んだ上で国家試験なので、当然ながらまあまあ勉強しないと受かりません。
そりゃそうです、人の体に針を刺すわけですから。
●いろんなことをする先生たち
理学療法士ならリハビリ、歯医者なら歯の治療を行いますが鍼灸マッサージ師は何をしているかわかりますか?


鍼灸マッサージ師といっても先生によって得意分野が違います。
- 美容
- 不妊治療
- リハビリ
- コリの治療
- リラクゼーション
などなど、列挙していったらたくさんあります。
こんな感じで、国家資格を取ってからの分岐がめちゃくちゃある。
かつて、「誰かが決めたレールを走るなんていやだ!」みたいな反抗期の文句が主にロックの文脈で流行った時期があったが、今では「そもそもレールがねぇ」というのが大前提である。
鍼灸マッサージ師には昔も今もレールなんてものはありません。
なんて自由な職業なんだ。
というわけで病院にも鍼灸マッサージ師がいたりするし、介護施設や接骨院、スポーツジム、リラクゼーションサロンなどなど意外といますよ、鍼灸マッサージ師。

治療院とはどんなところなのか
街で見かける「〇〇分〜円」というマッサージ屋さん、接骨院、鍼灸院、エステ。
どこのホームページをみても美容のことが書いてあったり、肩こり腰痛のことが書いてあったり、姿勢のビフォーアフターの写真があったり、似たり寄ったりで違いがよくわかりません。
正確にみてみると
- 整形外科的に有効な治療法がない慢性的な肩こり、腰痛などの「痛み」
- 標準治療の補完
- 代替療法として(標準治療が優先)
こんなことをするのが鍼灸院、というか鍼灸マッサージ師の本来のお仕事かと思います。
接骨院はケガをしたときに整復や固定をしてくれる場所。
エステはスキンケアやプロポーションの手入れなどをしてくれる場所。
マッサージ屋さんはくつろぐ場所。
このようなとらえ方でいいかと思います。
とはいえ現在は本来の業務の範囲をこえてサービスを提供しているところがほとんどなため、何だかよくわからないカオスな業界になっています。
無資格者がとやかく言われることが多いようですが、僕みたいに慢性痛の治療をしてみたりヘッドスパをやってみたり、サプリメントのアドバイスをしてみたり色々する輩がいるのも問題なのでは、と思ってきました。
まぁでもいいじゃない、レールがない自由な職業なんだもの。
健康でいるためには
『病理医ヤンデルのおおまじめなひとりごと』では病気になることを医療シアターに例えて解説しています。
- 主演を務めながらも観客でもある患者
- 悪役になる病気
- 舞台を彩る医療者たち
ざっとこんな感じ。
そして、主演を務める患者の医療リテラシー(ヘルスリテラシーともいう)を高めるべく、さまざまな啓蒙の可能性を紹介しています。
この医療リテラシー、健康でいるためにもとても重要。
●魔法は存在しない
『病理医ヤンデルのおおまじめなひとりごと』の後半、ニセ情報の見分け方としてこんなルールを紹介しています。
医療シアターをひとりで決着させることはできない。
これはどういうことか。
例えば「〇〇をするだけで痩せる」とか「〇〇を飲むだけで良くなる」とか、単独で物語を完結させるような〇〇なんてものは存在しないということです。
健康でいるために、キレイになるために〇〇のような魔法の手段があったら飛びつきたくなりますが、そんなものはありません。
「単独のもので絶対に良くなる」
こんな空気を匂わせている文言には即疑ってかかってください。
おわりに
ほとんど本の内容を紹介しないまま終わってしまいました。
ただ、鍼灸マッサージ師の内情を書いたように『病理医ヤンデルのおおまじめなひとりごと』では病院・医者・医療の内情がこの記事より100000倍おもしろく書かれています。
その雰囲気を少しでも漂わせることができていたなら、この記事は大成功ということでいいですよね。
書いていてもっと書きたいことが出てきちゃいましたが、この辺でやめときます。
何事もやりすぎないことが大切ですからね。